レンタル彼氏【完全版】
それから私は、嗚咽を洩らしながらも一言一言しっかりと紡いで、どうにか伊織のことを説明した。


偶然出会ったこと。
レンタル彼氏だってこと。
私を本当に大事にしてくれてたこと。
伊織にさよなら言われたこと。


首を絞められたことは、さすがに言えなかったけど、仕切りにそこを隠そうとしてるからきっと気付いてる。
この跡に。


一通り、話し終えてから暫く沈黙が流れた。



多分、二人ともレンタル彼氏ということを理解出来てないんだと思う。
あれを突如受け入れるなんて、普通に生きてたら無理だ。


私はホームページ見てたから、すんなり受け入れたけど。

しかも、ホームページに載ってた伊織に運命なのか会っちゃったわけだし。


喋り終えた時には私の涙も幾分引いていた。


最初に沈黙を破ったのは、和だった。


「…レンタル彼氏って…泉はお金払ってたの?」


未だ、納得してない声で半信半疑に和は言う。
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