レンタル彼氏【完全版】
順二は半ば、呆れながら私を見る。


「でもさ、そんな仕事してたってことは金が欲しかったんだろ?
信用出来るかわかんねえじゃん」


「確かに。
お金が欲しいからレンタル彼氏してるんだもんね」


順二の言葉に和は賛同する。


「違うよ…」


その二人の言葉を私は否定する。


「伊織はお金なんかいらないって言ってた」


「じゃあ、何でやめねえんだよ?」


「……………」


順二の鋭い返しに言葉が詰まる。



伊織は一度だって、レンタル彼氏をやめたい、やめるだなんて言わなかった。
お金がいらないから、月三万だと言ったけど。


それって…やっぱり、私のことも…。




ううん。


私が信じないで誰が信じるんだ。


順二に和は伊織を見てないから…。
だから、憶測で思い当たることを私に言ってくれてるだけなんだ。


私が…。

信じないと。


「………伊織は、そんなんじゃない」
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