レンタル彼氏【完全版】
別に両親は不仲ではない。
今でもたまに二人で出かけるぐらいだから、どちらかと言えば夫婦円満だ。


好きな男の一人や二人いた。
付き合ったことだってある。
だけど、ただそれだけ。



付き合っただけで満足してしまう私は、とことん恋愛に向いてないんだろうとそう思えた。



そんな私だから長続きはしないのは当然なわけで。



週末、彼氏よりも友達を取ってしまうのは私がまだまだ本当の恋を知らないんだと思った。


彼しか見えなくて、彼だけしかいらない。



そんな恋愛してみたいと思ったことはあるけど、すぐに面倒に思えてきて、やっぱり一人でいいと考えてしまうこの頭はつくづく恋愛に向いていない。




自嘲気味に私は口の端を上げると、また伊織に視線を落とした。
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