レンタル彼氏【完全版】
“俺は俺でいたら好きになってくれないのか?”
初めて会った時。
伊織がそう言っていたことを思い出す。
ただ、私に愛されたかった伊織に気付けなかった自分が情けなくなる。
どこを、私は伊織のどこを見ていたの…?
伊織を好きでいることと、伊織に愛されてることを実感すること。
二つが入れ代わりで、私はただ純粋に愛されたかった伊織に…気付けなかった。
「伊織は、愛されたかったんだ…。
私が愛してあげなきゃいけなかったのに…。
なのに、私っ、自分のことばっかで…」
ぼろぼろと言葉とともに涙が溢れて止まらない。
「伊織に、会いたいっ…。会いたいよっ…」
儚い、願い。
叶うことはもうない、願い。
そう、思ってた私に光が差し込む。
「泉、レンタル彼氏ってホームページで知ったんでしょ?
それまた探したらよくない?」
和がそうやって、泣いてる私の頭を撫でながら思いついたように言った。