レンタル彼氏【完全版】
考えてもいなかった。

もしかしたら、そこから何か伊織に通じるかもしれない。


「その、ホームページ探してみようよ」


「……うん」


じゃあ、お兄ちゃんの部屋に、そう言おうとした私を順二が遮る。


「会う、覚悟あんのか?」


「…え?」



順二の言ってる意味が分からない。
何でそんなこと言うの?



「……泉と別れたがってた奴と会ったって、冷たくされんのがオチだろ?」


「…わ、わかんないじゃん」


「冷たくされたらどうすんだよ?
また…、泣くんだろ?」


「!!」


きっと、順二の言葉通り。


伊織は理由は分からないけど、私と離れたがってたんだ。
会ったって、冷たくあしらわれるかもしれない。


伊織の、冷たかった瞳を思い出す。
あんな瞳されたら、私は普通でいられるのかな。


「………なあ、俺言ったよな…。
泉が幸せじゃないならイヤだって」



はっとして私は順二を見た。
切ない顔を見せて、私に微笑む。
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