レンタル彼氏【完全版】
一寸の乱れもないホテルマンが、俺に笑いかける。
何がなんだか分からない俺は曖昧に微笑み返した。


「かしこまりました。さあ、こちらへどうぞ」


別のホテルマンが美佳を案内している。
そっちとは別の場所に俺は案内されて、渋々ながらもそっちへ向かった。


美佳がそっち行けと言うから仕方なく、だ。


その後はなすがままに俺はされていた。



ホテルマンみたいに、ピシッとしたスーツを羽織らされている。
少し光沢があるグレーのスーツと、薄いストライプの入ったシャツ。
それから、髪の毛もセットしてきたのに再度セットされて。


一流の手によって正装されていくのを、俺はもう勝手にしてくれ、とされるがままにしていた。


全て終わった後、美佳と顔を合わせると

「うん、いい感じ」

と満面の笑みで言って俺の腕に自分の腕を絡ませた。


好きにしてくれ状態の俺は、半ば自棄になりながら、美佳と共にホテルのレストランに向かった。
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