レンタル彼氏【完全版】
「……………」


包みを開けた中にあったのは、シルバーのクロスネックレス。
少し、ごつめのくすんだ感じ。
それが渋くて、一目で気に入った。


「どう?プレゼントなんてしないから、かなり悩んだんだよ?
千里に聞いたんだ」


「千里に?」


「うん、千里ならカッコいいの知ってそうだし。
聖じゃ無理でしょ」


「ああ…」

確かに。
そう、納得して小さく頷く。


「つけてあげようか?」


美佳の言葉に俺は、また頷く。

美佳は嬉しそうな顔で、俺の後ろに回ってネックレスを首につけた。



「…美佳、ありがとう」


顔を見てたら、ちゃんと言えなさそうだったから。


「…ふふ、ありがとうは三回目かな」


「…覚えてねーし」


そうやってぶっきらぼうに言った、俺の頭をぐしゃぐしゃにしてから美佳は席に戻った。


「セットしてんのに…」


「いい感じになった。男前だね、伊織」


「美佳は相変わらずすぎる」


「伊織は変わったね」



そう、はっきり断言する美佳にドキっとする。
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