レンタル彼氏【完全版】
「…順二には、きっとこれからいい人見つかる」


「……はあ?」


私の肩を掴んで、胸から引き剥がす。
順二は訝しげな顔で私を見ている。



「伊織には…私しかいないんだ」


「…何それ」


「順二には他の女の子が」


「ふざけんなよっ!!」


ガンっと順二が机を蹴り飛ばした。

順二が怒るのは至極当然のことだった。


「お前は…何を聞いてたんだよ…?」


「………」


「俺はお前が好きなんだよ」


「…………」


「他の女の子なんて…泉が言うんじゃねえよ!!!」


「………ごめん」


「謝んな!」


キッと私を強く睨みつけると、順二は


「わかったよ、もう泉以外を見るようにするよ。
悪かったな、迷惑なのに気持ち押しつけて」


自棄になりながらそう言い放ち、乱雑に扉を閉めて教室から出ていった。


その場に崩れ落ちながら私は涙を流した。
和が来る前に泣き止まないと。




………そうやって私は順二の心をズタズタに切り裂いたんだ。



私のこと嫌いになっていいから、他の子と幸せな恋愛して欲しい。

お願いだから。
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