レンタル彼氏【完全版】
突っぱねた態度は、ガラスみたいな心の内を見せないためだって。

そうだと、気付けたのは伊織と離れてから。
付き合ってる時は、曇って何も見えなかったから。


「そういや、最近真崎先輩とどう?」


久しぶりに恋話でも聞こうかと思って、話をふる。
和はポテトを食べる手を止めた。


「んー?要君?うーん、普通」


「何それ。普通って」


「なんか、空気みたいな存在」


「ははっ」


「え?笑うとこおかしくない?」


「だって、それってもう夫婦みたいじゃんか」


「うー、そうかも。多分、私も要君以外考えらんないかなあ」


「…うん、本当二人お似合い」


「……ありがと」

少し照れながら、和はジュースを飲む。
その顔が本当に可愛くて、私まで嬉しくなる。


「…泉もいつか伊織見せてよね」


「……………うん」


涙が出そうだった。
あんなに無理だって言ってたのに。




和はやっぱり私のかけがえのない親友だと思った。
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