レンタル彼氏【完全版】
パタパタと、音が聞こえた方に視線をやった。


「あ、まあま」

そう言いながら、私の周りに群がっていた子供達はまあまと呼ばれた人の元へと走って行く。

まあまを見ると、この間私に謝った人だった。


「あら」


まあまは子供達に笑顔を向けた後、私に気付いてびっくりした顔を見せた。


「昔、会ったことあるわよね?」


「えっ、覚えてるんですか?」

まあまは私の元へ近寄ると、にっこりと目を細めた。


「ええ、もちろん覚えているわ。ボールが当たりそうだったわよね?」


「凄いっ!本当に覚えてるんですね!もう一年以上前なのに」


「ふふ、あの日は特別だったからよく覚えてるのよ」


「そうなんですか」


「今日はどうかしたの?何かウチに用事でも…?」


「あっ」


そうだ、私いきなり来ようと思ったものの何を言うか全く考えてない。
とりあえず、行こうだけだったから。


何か。
………何か。



あ!




「あの!ここって働く人募集したりしてないですか?!」


少し緊張しながら、一気に言うとまあまはきょとんとした顔を見せた。
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