レンタル彼氏【完全版】
それが切なく思ってしまう。


通された部屋の椅子に座る。
まあまが私のすぐ目の前に座った。


「さて、自己紹介がまだでしたね」


「あ!私、私泉ですっ!浜田泉っ」


「ふふ、泉ちゃんね。私は山中鈴恵よ。皆からはまあまって呼ばれてるわね」


「鈴恵さん…」


「ふふ」

私が名前を反芻すると、本当に嬉しそうに目を細める。

「早速、いいかしら?」


「あ、はい」


「泉ちゃんがここで働きたいと言ってくれたのは嬉しいけど、今ここは募集していないのよ」


「………そうですか…」

そうだよね…。
私はがっくりと肩を落とした。


「ねえ、泉さん。
あの子達のこと、可哀想だと思った?」


「え?」


「あの子達は理由があって親元を離れているの。
本当、様々な理由があるわ。
病気で育てることが出来ない親や、虐待されてそこから保護された子や。
捨てられた子だっている。
でも、あの子達は何も可哀想じゃないの」


「………何で…ですか?」


「それが…わかるようになったら、またお話したいわ」


「……………」




どうして、可哀想じゃないのか検討もつかなかった。
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