レンタル彼氏【完全版】
ひとしきりやって、気が済んだのか、和は順二に向き合う。

「とりあえず、私少し消えるから二人、話しなさい!」



……………は?



和はそう言うと、すたすたと扉まで歩いて行く。
それを慌てて呼び止めた。

「の、和!?」

和はぴたりと足を止めて振り向くと

「…要来てるから、ごっめ~ん!」

と、にこやかに去って行った。


口をあんぐりと開けたまま、暫く呆ける私の背後から順二が声をかけた。


「………泉」


ドキッとして、私が中々振り向けずにいると。


「………なあ、場所変えねえ?」


そう、言った。
教室にはまだ人がいるから。

ここで断ったら、多分もう二度と順二とは話せないかもしれない。


そう、思った私は振り向かずに俯いた。






…………と。

急に順二が私の腕を掴んで、教室を飛び出した。



廊下に出ると、後ろから残っていた女子生徒のきゃあきゃあ言う声が聞こえた。


…………誤解だ、誤解。


私は必死に心の中で否定した。
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