レンタル彼氏【完全版】

「…………っ」


何も言えずにいると、順二はふっと笑う。


「……やぱ…忘れらんねえ?」

眉を下げて、半ば諦めたかのように順二は言った。


「…………ごめん」


「……………」



多分…。
そう、簡単に諦められないってことは順二が一番わかってる。



きっと、今まで私に冷たくして忘れようと努力したんだ。
だけれど。



ねえ、順二?

皮肉だよね。



離れれば離れるほど…。

相手を思い出して焦がれてしまうだなんて。



私と順二は正にそうだったから。



諦められるなら…とっくに諦めてたから。
それが出来ないから…こんなにも苦しいと言うのに。


「本当は言うつもりなんかなかったんだけど…もう会うこと中々ないと思うし」


「……うん」


「けじめつけんのに…卒業がいい機会だと思ってさ」


「…………うん」


「今までありがとう、俺泉のこと好きだったこと、一つも後悔してない」


「…………ふぇ…」


「……泣くなよ」
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