レンタル彼氏【完全版】
そのまま、私はそこにしゃがみこんで思い切り泣いた。
キスが嫌だったんじゃない。
たった一瞬。
頬にキスすることが、順二の伊織への反抗と。
頬ではなく口にしなかったことが、順二の脆さと優しさだから。
それが苦しい程、私に入り込んできたから。
順二、友達としてだけど好きだったよ。
本当に。
口に出さなかったのは、私の優しさだって思ってね。
期待させないための。
暫く泣いた後、私は真っ赤な目で学校を後にした。
もう、学校にはほとんど人がいなかった。
そのお陰で、泣いてたことがバレずに済んだ。
明日から新しい生活が待っている。
そんな新たな一歩を大きく大きく前へと踏み出した。