レンタル彼氏【完全版】
それを聞いて、まじまじとそのトップスを見つめる。

「ははっ、俺JUN愛してるんですよ。
だから、毎月貢ぎまくってるんで」


「はあ…」


「洋服余り興味ないですか?」


「まあ、生活出来れば別に」


「まあ、確かにお兄さん、カッコいいから着飾る必要なさそうだな」


「………」


ニコニコと話をする男の胸元のバッジを見ると、野々村と書いてある。


…………野々村?
さっき、聖言ってた?


「野々村って」


「え?」

トップスを畳みながら、その店員が俺を見る。

「プレスの?」


「えっ、俺のこと知ってるんですか?」


「……いや、付き添いが」


「なあ、伊織~」

そこにタイミングよく、聖が登場する。

優柔不断な聖は、トップス二枚を持って悩んでいる。
それから俺の隣にいた野々村って店員を見て固まった。


「~~~っ!!」

聖は言葉にならないらしく、洋服が皺になるんじゃないかってぐらい握りしめている。



野々村はその様子に不思議そうに首を傾げた。
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