レンタル彼氏【完全版】
鈴恵さんはくるっと振り返ると、俺を見ていつもの優しい笑顔を見せた。

「お帰りなさい。楽しかった?」


「ああ、うん」


「お腹は空いてない?」


「大丈夫、食べて来た」


「そう、ならよかった」


「…鈴恵さん、ありがとう」

俺が急に感謝の言葉を口にするから、鈴恵さんは意味がわからず不思議そうな顔をしている。

「何もしてないわよ、私」


「はは、いいんだ、言いたかったから」


「そうなの?じゃあ、どういたしまして、ね」


「ははは」


鈴恵さんと顔を見合せて笑った。


明日はまたバイトがある。
また普通の毎日が始まる。


そこに、いつもとは違う聖も加わったんだ。


それだけで色鮮やかに感じるのは何故だろう。


美佳。
泉はいないけど、俺は今の生活嫌いじゃないよ。


そういえば。
聖が言っていた彼女、どんな子なんだろう。
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