レンタル彼氏【完全版】
それを、心に留めておくなんて無理な話。



伊織に会ったら、私は間違いなく伊織の元へ走っていく。
それって、付き合った相手を裏切る行為でしょ?


それに。
伊織以外、私は触れられたくない。

それほど。

伊織が好き。



珍しく、聖は土日会いたいと言わなかった。
月曜に会うからいいんだって。


約束した当日になって、いつものように聖が大学まで私を迎えに来る。
本当、傍から見たらカップルだ。


でも、カップルの尚子と学と違うところは二人の間にさりげなく距離があるところ。

手を繋がないところ。
笑い合うけど、愛を囁き合わないところ。


いつものように笑いながら歩くと。
聖の行き付けのバーがあるらしく、そこに連れてってくれるらしい。

聖は私と二つしか違わないのに、やけにこういうとこに詳しい。


やっぱモテる人は違うな。



連れてこられたお店は、聖に似合わないシックなお店だった。


少し薄暗くて、いかにもって感じのバー。
カウンターにバーテンがいて、その後ろにカクテルがたくさんある。
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