レンタル彼氏【完全版】
「でしょ?」


聖は嬉しそうに笑った。

「…聖さ、モテるよね」


「え?」


「顔はいいし、色々さりげないし」


「いきなり何。
え?まさか好きになった?」


「………はあ。
聖好きなら楽しかったのかな」


「……じゃあ付き合ってみたらいいじゃん」


「う~ん、私ね」


「うん」


「高校の時に一途に思っててくれた人がいてさ、その人も忘れる為に付き合ってみなよって言ってくれたんだけど…。
逆に無理だって思ったんだ」


「逆に?」


「だって、もしも付き合ったら期待するでしょ?
好きにさせようと頑張るでしょ?
で、無理だと思ったら傷付くでしょ…?」


「……………」


お酒が入った所為なのか。
場所柄の所為なのか。

それはわからなかったけど。


すらすらと本音を話してる私がいた。

「泉、まじで好きなんだな…」


「え?」


「ううん、何でもない。
あ、ここのピクルスうまいんだよ」


そう言いながら聖は店員を呼んだ。


………今、泉って言った?
聞き間違い?
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