レンタル彼氏【完全版】
美佳と別れてから、俺は聖の家へ向かった。

一度、行ったことあるから道は覚えてる。


マンションに入ると、俺はエレベーターに乗り込んだ。
聖の部屋は十階建ての四階。


部屋は1Kだった。


聖の部屋の前まで来ると、インターホンを押した。
ピンポンと音の後に、バタバタとこっちに近づく音がした。

ガチャっと開けた先には、笑顔の聖がいた。


「いらっしゃい!伊織!」


「よっ」


「入って入って」


聖は扉を広く開けると、腕を伸ばして部屋へ入るように促した。
入ろうと、玄関に足を踏み入れる。

自然と、目線を落とした時に聖の物ではない靴があった。



……………パンプス……?


まさか。



信じたくない現実に。


ドクンドクンと、鼓動が早くなる。


「後さ、今ね」

玄関に入った俺を見てから、部屋に進む聖。
歩きながら聖は話しだす。


「彼女、来ててさ」





頭が、真っ白だった。
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