レンタル彼氏【完全版】
まさか、こんな再会。
…………アリなの?
「か、彼女来てるなら…悪く…ね?帰るよ?」
動揺しながら俺は聖に言う。
どちらかと言えば。
顔を見ないで帰りたい。
「何、泉、酔っ払って寝てるから大丈夫だよ。
別に起きても構わないし」
「……そ、そうか」
「早く、中おいでよ」
聖がニコっと笑う。
恐る恐る、足を部屋に踏み入れる。
ベッドに誰か寝てるのがわかる。
……顔が見えないことが救いだと。
切に思った。
「伊織、これ!これ飲みたかったの!」
そう言いながら、日本酒を出した。
「これさ、うまいんだよーあんまこっちに売ってなくて探して見つけたの!」
「…へえ」
「あ、コップコップ」
そう言いながら、聖が立ち上がって棚へ向かう。
ちらっとベッドを見る。
………相当、酔っ払ったのか。
ぴくりともしない。
……………16だった泉の面影はもうないんだろう。
男の部屋に来て、寝てしまうほど。