レンタル彼氏【完全版】
そっと、ベッドの前に腰をおろす。
布団が泉の寝息で、微かに動く。

そんなとこまでも、愛しい。


布団に触れた俺は、ゆっくりゆっくり。


泉の顔が見えるぐらいまで捲りあげた。



そこに、いたのは。



愛しい、愛しい。






ずっとずっとずっと。


会いたかった泉の、寝顔。




途端に涙が俺から溢れてくる。



「ふっ、はは…」



バカだな、俺。



本当に。



抱き締めることも出来ないのに。


涙で歪む、俺の視界に飛び込んだのは。






……………肌色。







泉の上半身…、裸………………???




布団を少し捲れた所に衣服は見当たらない。
微かにブラの紐が見えるぐらいだ。


…………………。





ガシャンと。






俺の中で何かが、崩れた。






わかっていたじゃないか。



泉は、聖の、彼女。




ワカッテイタジャナイカ。





俺は、何も。




考えられなくて。





聖の部屋を飛び出した。
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