レンタル彼氏【完全版】
思い出したかのように伊織は顔をあげて私を見ると
「あ。けーたい貸して」
と、私に言った。
ああ、うんと生返事をしながら私は伊織に携帯を渡した。
ぴぴぴと何やら操作してるのを黙って見つめる。
「はい!俺の連絡先」
渡された携帯の画面には、伊織って名前と携帯番号とメアドが登録されていた。メアドには09.19の数字と伊織の名前が入っていた。
「………ゼロキュウイチキュウ…」
…………
あ、誕生日。
「一応、俺の本当の誕生日」
「本当のって?」
「…レンタル彼氏ってプロフィールちょっとしか載ってないだろ?」
「あ、うん」
そう、それ気になってたんだよね。
「俺らレンタル彼氏は理想通りでなきゃならないから年齢も血液型も書かないの」