レンタル彼氏【完全版】
「じゃあ…じゃあ、泉を好きじゃなく付き合ってんのかよ?!」


拳がわなわなと震える。

………俺がこんなにも欲しくて欲しくてたまらないモノを、聖は手にしてるのに。



聖は怒りに震える俺の様子を見て、また高笑いを始めた。

「…何がおかしいんだよ」


「全部、全てだよ」


「………はあ?」



聖は挑発するような顔で、そう言い放つ。
血が沸々と煮えたぎるように、体が熱くなる。


泉のことになると、こんなにも取り乱せる俺がいる。


「………まずさ、俺は泉と付き合ってなんかいないわけ」


「…………な、んて……?」



付き合って、いない…?




どういうこと…………?



毎日の様に泉の写メを送って来たのは?


何で?

何の意味があるんだ?



聖がそんなことをする理由が検討もつかない。


「…………泉も伊織もさ、人を疑うこと覚えた方がいいよ」


「は……?」

くっくっ、と喉を鳴らすと聖が俺を不適な笑みで見つめた。
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