レンタル彼氏【完全版】
親子二代に渡って、俺は聖の人生を狂わせてしまったんだ。
俺を憎むのは………無理もないじゃないか。



「………それなのに。
何で美佳と連絡取ってんだよ!!」


聖は俺をキッと睨み付けると、拳を振り上げる。
その拳が俺の顔面を打った。


「…お前が憎い、憎いよ。
美佳と会えば、いつも伊織の話をされた。
何で、何で…俺じゃないんだよ!!」


俺の胸ぐらを掴んで前後に揺さぶりながら、聖はそう叫んだ。


………涙を流しながら。






切れた唇を抑えることも。

聖に何か声をかけることも。



俺には出来なかった。



だって。





何て声かけるんだ。


………父親がごめん?

………俺が惚れさせてごめん?

………美佳と連絡取ってごめん?



…………何だよ、それ。



そんな薄っぺらい言葉。




聖の受けた傷を癒す術が分からない。

…………俺を傷つけたことで満足するのだろうか。




これも。


俺の、罪なんだ。



抗うなんてこと出来ない。
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