レンタル彼氏【完全版】
……知りたくなかったけどね、こんなこと。


「さて、今日はご飯何にしましょうか」


「寒くなって来たし、鍋にしようよ」


「いいわね、そうしましょうか!」



それから俺は鈴恵さんと一緒に洗濯物を畳んで、夕飯の買い出しに向かった。



翌日、部屋探しを始めた俺だったけど、選り好みをしないお陰かすんなりと部屋を決めることが出来た。

アパートで、築二十年だったけど、寝ることさえ出来るならどんなとこだっていい。



部屋が決まってから、俺は一番に美佳に電話をかけた。
自棄にコール音が耳につく。


………出ねえな。

しゃあねえ、また後でかけるか。


そう、思って俺は携帯を閉じた。
後にこの時、何度も電話をかけなかった事を俺は後悔する。


この日を境に。

電話が美佳に通じることは二度となかったから。



……………失うものなど何もないと思っていた俺は。





美佳を失った。
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