レンタル彼氏【完全版】
逆に、私の気持ちも聖しかわからないんだろうな。

そう、考えると無性に切なくなる。

だって。
この気持ちは途方もないから。


だからといって、諦めることすら出来ない。
出口のない迷路に彷徨いこんだみたいだ。


幸せでもあり、不幸せでもあるんだ。



……でも、伊織はまだ生きてる。




だから、まだ幸せなのかもしれない。



「いずちゃん」

ぼーっと考え込んでる私の前に座った聖。


「…んっ?」


聖に目線を合わせて軽く答える。


「今日さ、新しく出たケーキ買いたいからついて来てくんないっ?」


「ふはっ、またケーキ?」


「うん、三食ケーキでもいいぐらいっ」


「む、無理っっ」



本当に程よく筋肉もついていて、脂肪なんかなさそうな見た目なのに。

こんなにもケーキとか、甘いもの大好きなんだもんなあ。


人って見かけによらないって言ったもんだなあ。

じろじろと聖を頭から爪先までなめる様に見る。



「な、なにっ?」


後退りしながら聖は引きつった笑顔を見せた。
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