レンタル彼氏【完全版】
「俺、もう帰るわ」


「え?」


ファーストフードを出て、私と向き合って伊織が言う。
髪の毛に光が差し込んでキラキラしていた。


「次からちゃんと理想の彼氏演じるから、ね」


「……いいよ、伊織のまんまで」


「それは無理」


はっきり言ってから、伊織はニッコリ笑う。



「泉、月3万でいーわ」


「は!?」


「え、だからレンタル料金」


「いや、だって」


だって、貴方月2000万ですよ?
私が目をパチパチさせてると伊織がまた続けて言った。



「その代わり、今の客優先だからその子から呼び出しかかったらそっち行くし、一緒にいたら泉には一切連絡しない。

それが条件」


「月3万で、いいの?」


「別にいくらだっていいよ」


「……」


「俺、金欲しいわけでもないし」


「じゃあ、なんで」


「何でこんな仕事してるかって?」
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