レンタル彼氏【完全版】
静かに頷くと、伊織は含んだ笑みを見せるだけで答えなかった。



「とりあえず、他の注意事項はHP見たでしょ?」


「うん」


「そゆこと!じゃ、また」


「あ、伊織」



私が呼んでも、伊織はスタスタ歩いて行ってしまい止まってはくれなかった。

それに振り向いてもくれなかった。



片手をひらひらさせただけだった。




たった数時間。


話をしただけだけど。




伊織は、なんか…

なんか切なかった。




それが今日の私の印象。




ふと、左に目をやるとメイちゃんと先輩が二人で歩いてるのを見つけた。

映画館から出てきたらしい。



やっぱり、映画館ここだったか。


思い切りシャッターチャンスなのに、その気になれなくて。

結局、記事はブログの写真を使い回すことにした。
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