レンタル彼氏【完全版】
目を真ん丸に見開いて射ぬくように見つめる。


「まっじ。俺の三つ下なわけ?」


「……俺の四つ下?」


と、いうことは吏紀は18で聖は19なわけ?


「まじ見えなさすぎー!年下に見えねー」


「本当ー」


「…………」



溜め息をつきながら俺はソファでなく、聖と吏紀の前に座った。
それからテーブルにある酒に手を伸ばした。


「……はあ、色々な奴がいるもんだね」


「俺、15の時喧嘩に明け暮れてたわ」


「あー暴走族の話聞きたいっ!伊織も思うでしょ?」


「……………別に」

ぷしゅっと缶ビールを開けると、俺はごくごくと流し込んだ。


「あー!乾杯ぐらいしようよ!」


「そうだよ、お前勝手に始めんなよっ」



そう言うと、二人は慌てて缶ビールを手にした。


「じゃー……レンタル彼氏に乾杯っ」


「なんだ、それっ」


「……ふふ」


「あっ、伊織笑ったー!」


「あはははは」



何もかもを信じられない俺だったけど。

純粋に出来た“仲間”が嬉しかったんだ。
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