レンタル彼氏【完全版】
「さ、さぶっ」


12月。


クリスマスが近付く街は、イルミネーションやツリーで煌びやかだ。


Pコートにマフラーを巻いても、寒い。
体をさすりながら呟くと、隣にいた聖が笑った。


「手袋貸そうか?」


聖はつけていた手袋を取ると、私に渡す。


「いや、聖が寒くなるじゃん」


「じゃあ、一緒に片方ずつつけよ?」


「ふふ、何だそれっ」


「いいの、いいの」


そう言うと、強引に私に片方を渡した。

仕方なしにそれをつけた。


聖が今までつけていたからか、あったかい。


「あったかっ、さんきゅ」


「ふふ、いいよ、いずちゃん」



最近、聖は柔らかく笑うようになった。
本来の聖はこうなのかもしれない。



「…クリスマス何してる?」


ふいに聖が問いかけた。


「ああ、今年は尚子と学二人で旅行行くからね。
家族で過ごすかなあ」


「じゃあ、俺と出かけない?」


「いいの?私で」


「いずちゃんがいいの」


「ははっ、聖は私のこと好きだもんね」


「うん、好き」


あー、可愛いこと。

聖、本当素直になったなあ。
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