レンタル彼氏【完全版】
そんなことを考えていたから、たんぽぽ院まであっという間に到着した。



バイクを止めて、鍵を閉めると、私はたんぽぽ院の前に立った。



…前に来た時は、自転車だったのにな。


年齢を重ねたってことだね。




ゆっくりと足を踏み入れる。


どこに行けばいいかわからずキョロキョロすると、一人の男の子が私の足元まで来た。




「………お姉ちゃん、誰?」



小さな男の子が私を見上げていた。


その子の前にしゃがみこむ。

目線を合わせて微笑むと

「まあまいるかな?」

そう言った。



その子はニコっとすると


「まあま、いるよ」


そう言って私の手を取った。



その男の子に案内されて私は進む。


部屋の中で、取り込んだ大量の洗濯物を畳む鈴恵さんの姿が見えた。





変わらない。


それが嬉しく思った。




私の手を離すと、その男の子は鈴恵さんの元へ走って行く。




「まあまー、お客さん来たー」



その声に、顔を上げた鈴恵さんと目が合う。
それにぺこりと軽く頭を下げた。
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