レンタル彼氏【完全版】
戻って来た鈴恵さんから写真を手に取る。



それを見た瞬間から。



涙は溢れて止まらなかった。





「い、泉さんっ?」


「………すみ、ません、い、伊織……だ」






そこに写っていたのは、紛れもなく伊織で。


私がずっとずっとずっと会いたいと焦がれていた伊織で。




伊織。



これは、奇跡なのかな。



伊織がいたたんぽぽ院で働きたいと思って。

伊織がいたことも知らずに訪れていて。




鈴恵さんはゆっくりゆっくり背中をさすってくれていた。



「……私っ、伊織を、救いたくてっ…だから、児童養護施設で、働きたいと思ったんです」


「……そうなの…」


「……伊織が、ずっと好き、だったんです」


「………」



鈴恵さんは手を止めることなく、囁くように話しだす。



「…前に泉さんが来た時、伊織に泉さんの名前出した時吃驚してたの。
それはこんな理由だったのね」


「………伊織が?」


「ええ、初めて会った時のことを覚えてたのは、あの日に伊織がここに戻って来たからなのよ」


「…………!!」
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