レンタル彼氏【完全版】
降りた後、吏紀は満足そうに笑いながら

「一度やりたかったんだよねー」


そう言った。




それから百貨店に入ると、高級ブランドショップに入る。


カジュアル過ぎる服装の俺達は、余りにも場違いに思えた。


だけど、吏紀は色々物色するとベルトやら、靴やら小物を即決で決めている。



「あ、あれも欲しい」


「おい、吏紀、どんだけ買うつもりだよ」


「買えるだけ」


「…………」



溜め息をつきながら、俺も周りを見ると腕時計が目に入った。

中々、デザインが凝っててカッコいい。



値段は百万ちょい。

それを余裕で買えるお金を持っている自分に少し驚く。



「かっけえじゃん、これ」


後ろからひょこっと顔を出すと、吏紀はそう言って腕時計を手に取った。



「買わねえの?」


「……いや」


「買わねえなら買うぜ、俺」


「買うわ」


「そ。じゃ、俺こっちにしよ」


「…………」



吏紀は隣の腕時計を取ると店員に渡した。




先に俺は会計を済まそうと店員を呼ぶ。
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