レンタル彼氏【完全版】
翌朝。


結局、ドラッグはクローゼットの中に入れたまま手をつけなかった。




またインターホンが鳴る。
出ると吏紀だった。


「おは」


「…はよ」


「中入れて」


「………」



無言のまま俺は扉をあけた。

中に入ってから、吏紀はソファに座った。



「伊織~、昨日やった?」



吏紀がさしてるのは、きっとドラッグのことだ。



「……いや」


それを聞いてははっと吏紀は笑う。



「何、びびってんの!
俺は昨日やったよ!サイコーだった!
な、俺なんもねえだろ?」


「………」



確かに吏紀は至って普通だった。




「だから、平気。なんなら今やろーぜ」


「今?」


「おう、今。
てか、まじで伊織お子ちゃまだな」


「はっ?」



その言い方にカチンと来た俺は、その悪魔の誘いにのってしまうんだ。



「やってやるよ」


「お、いいね」




黙って俺はクローゼットにあるドラッグを取り出した。

それをテーブルに置く。



「これさ、脱法ドラッグらしくてやっても捕まらねえんだって」


「……………」
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