レンタル彼氏【完全版】
自分の部屋にいるはずなのに、周りはあの喫茶店。


それにナイフが刺さった母親がゆっくりと俺に近付く。




「うわあああああ!!!」



完璧な麻薬中毒。


俺は無我夢中で走った。



わけがわからず、とにかく追って来る母親から逃れたかったんだ。





靴も履かずに飛び出した俺は、駅前まで向かった。

俺と吏紀がドラッグを手に入れた場所まで走る。


キョロキョロ周りを見渡す。



そこで、あの男を見つけた。



俺はそいつの元へ走ると叫ぶように言う。




「…あいつ、あいつをくれっ」


「………はい?」


「いいから、寄越せよ!!」


「お金は?」


「金ならある、ほらっ」




ポケットに入っていた金をばらまくように投げる。


それを見て男は笑うと、ぼそっと耳元で囁いた。


「……駅前トイレ前にある公衆電話の下」


「…え?」



男はお金を全て拾い上げると笑って去って行った。



それから俺は公衆電話まで走った。

走らないと、母親が俺にたどり着くような気がしたからだ。
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