レンタル彼氏【完全版】
社長は酷く冷酷で、頭がキレた。



逃げ出すことも想定内だったんだ。

お金を持って逃げ出す奴もいるはずだ。


だけど、そんな奴の考えまで予想していた。



きっと、誰かしら薬物に手を出すことも。



なにもかも。





俺は見事に社長の術中にはまったわけだ。




完全な自由を失った俺は、薬をしっかりと抜いてから寮に戻った。



久しぶりに戻った寮。

クローゼットには高価なブランド服がたくさん入っていた。






…………こんな、モノ。



その服や、小物を俺は次々と取り出しては投げた。




「……金なんかあったって……!!」



全部、投げた後俺はその洋服の上に寝転がった。

皺になるからと、ハンガーにしっかりかけていたのに。



もう、そんなことどうでもいい。




もう、興味がない。






だって、そんなモノいくら買い漁ったって。



俺に自由はないのだから。



………だから、こんなモノ持っていたって意味がないんだ。
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