レンタル彼氏【完全版】
「あ、もしもし」


「学校って、そっか、泉高校生だもんね。
待ち合わせ駅前でいい?」


「こないだのとこ?」


「そ。こないだのファーストフードにでもいるわ」


「わかった!」


「……早く会いたいから急いで来いよ」


その一言に私はドキっとする。


「……う、うん」


「それじゃ、また」



私の返事を聞かずに伊織は電話を切った。
暫く私は、通話が切れた待ち受け画面を見ることしか出来なかった。



な、なに。
これは。



早く会いたいって。


まだドキドキして、火照る頬を両手で押さえながら私は教室を飛び出した。



一分一秒でも早く。

伊織に会いたかった。




私はこのまま、伊織にはまってくのに。
レンタル彼氏って。


本当に残酷だ。
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