レンタル彼氏【完全版】
「よしよし」


「っ、子供、じゃねえよ」


幼児をあやすような言い方に、思わず反抗すると泉はてへっと舌を出した。


「ふふ」



笑う泉の髪の毛をくしゃっと握りしめる。

泉の胸元から顔を上げると、また軽く唇を重ねた。


「…泉、好き」


泉はにっこりと微笑むと、返事の代わりに泉から唇を重ねた。

柔らかい、その感触が心地いい。


「今日は、もうここでお終い。
レンタル彼氏のことは、また違う日に教えて?」


これ以上、過去を話すのは正直辛かったからその提案をすんなりと受け入れた。


すると、泉は急に起き上がって袋を探る。

そして、可愛らしいお弁当箱を出して俺に渡した。


「それから~はい、玉子サンド」


「……」


本当に作ってきてくれたんだ。

起き上がって布団に座った俺はそのお弁当箱を受け取った。
それから蓋を開ける。


中に敷き詰められた、玉子サンドを見て。



また、ぼろぼろと涙が零れおちる。



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