レンタル彼氏【完全版】
…ストレート?


わけがわからなくて、首を傾げると泉はぷいっとそっぽを向いた。


「わかんないならいい」


「……そう?
泉、食べてもいい?」


まだ仏頂面のまま、泉は頷いた。


それにふふっと、軽く笑うと俺は玉子サンドを一つ手に取った。


一口頬張る。


懐かしい、味。

久しぶりに食べた。


あれ以来、一度も口にしていなかったから。



「…うま」


俺がそう漏らすと、泉の顔は見る見るうちに明るくなる。


「本当!?」


「ぷっ」


こんな一言で機嫌直っちゃうのかよ。
げんきんな奴だな。


「食べて食べて」


気をよくした泉は、これみよがしに勧めてくる。

はいはい、と笑いながら俺は玉子サンドを平らげた。


「ご馳走様でした」


「いいえ、お粗末様でした」


深く、お互いお辞儀をすると笑いあった。


「おいで、泉」


両腕を広げて、泉をこの腕の中に呼ぶ。

泉は少し躊躇いながらも俺の腕の中にすっぽりと収まった。

なんて、小さいし華奢なのだろう。
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