レンタル彼氏【完全版】
少し焦って、苛立った気持ちもそれだけで吹っ飛んでしまう。
伊織の一言は本当に、凄い力を含んでいた。


私は伊織の向かいに座り、荷物を置いて伊織を見た。
こないだとは雰囲気が全然違っている。
なんか、冷たい空気がない。
纏ってるのは温かい空気ばかりだ。



「泉、学校どうだった?」


「え、学校?」


「うん、泉の話聞きたいな」


「あ、え、今日は…なんかぼーっとしてたとゆうか」


「ははっ、何それ。もしや泉、寝てた?」


「ね、寝てないよっ」


「本当に?クマあるよ」


「!!」



伊織がすっと、私の頬に触れる。

一昨日会った伊織からは想像出来ないぐらい、柔らかくて。


優しくて。





優しい。




………………………




そうか。
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