レンタル彼氏【完全版】
その日は伊織の部屋に泊まった。


携帯がないから、伊織は来たい時に来ていい。
そう言ってくれた。


だから、私は甘えると思う。

毎日の様に会いに行くと思う。


毎日でも会いたい。





伊織を見送ってから、私は自宅まで歩いていた。


昨日のことを思い出して頬が熱くなる。

伊織と過ごした時間は、甘くて、最高の幸せだった。




ずっと携帯を確認していなかった私は、携帯を開くと届いていたメールを開く。

その中に。







聖の名前があった。





「………聖」



思わず、ぼそっとそう呟く。


聖からのメールは、簡潔なモノだった。






【今まで、ありがとう。
泉に会えてよかった。
また会えた時は笑い合おう。】






…………。





“クリスマス何してる?”

“じゃあ、俺と出かけない?”


“ははっ、聖は私のこと好きだもんね”


“うん、好き”






………約束、守れなくてごめん。


守ってしまったら、きっと私はただ聖も伊織も傷付けるだけだから。



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