レンタル彼氏【完全版】
私が家に着くのを待ってたかのように、携帯の着信音がけたたましく鳴った。

びくっとなりながら私は携帯を開く。


相手は和だった。


【遅くなってごめん!!
暇だよ~!
時間は昼ぐらい?】


ふふっと、笑みが零れる。
私はそれぐらいと打つとメールを送った。


【了解~、いつものとこで】

いつものとことは、高校の時から変わらない。
あの、駅前のファーストフード店。

伊織と待ち合わせしたり、話をした場所。


少し、思い入れのある場所だった。


…明後日、か。

カレンダーを見て、和との約束を頭で再確認する。

早く…。
会いたいなあ。

そんで、たくさんたくさん和には伊織の話をしたい。

それに、伊織にも和の話をしたい。

大好きな、二人が仲良くなってくれたらなんて素敵なのだろう。


それだけで、きっと私は泣きそうになるぐらい嬉しいはずだ。

今も言いたくて言いたくてうずうずしてるのを必死に引っ込めて、心の中に留めているのだから。
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