レンタル彼氏【完全版】
さすがに立て続けに今日も伊織の家に行くのはどうだろうと思った私は、図書館に行って勉強をすることにした。


伊織と会った今、私は更に児童指導員になりたいという気持ちが強くなったような気がする。


今までずっと、心の奥底で溜まっていたものが伊織との再会で取れたからだと思う。


いつにも増して勉強ははかどった。
気付いたら、外が薄暗くなっていて私は慌てて帰宅の準備をする。


そんな平凡な一日が、この上なく幸せだと思った。




明日、何しようかな。
そういえば、来週クリスマスじゃん。

私は図書館入口に飾られたクリスマスツリーを見て、それに気付く。


今までどれほど、イベント事を気にしていなかったのかがわかる。
だって、好きな人と過ごすクリスマスは初めてだ。

伊織と付き合った期間は本当に短かったから。

誕生日も、クリスマスも、年越しも。
バレンタインも、何もかも。

一緒に過ごしたことがないんだ。


これからは。
ずっと、毎年。

二人で過ごせる。


それが嬉しくて、口元が緩む。
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