レンタル彼氏【完全版】
早歩きで図書館を後にすると、私は帰宅しようと自転車を跨ぐ。


そうだ。
明日は伊織へのクリスマスプレゼントを買いに行こう。

喜んでくれるといいな。

好きなものなんてわからないけど、初めてのプレゼントだから一生懸命選ぼうっと。



こんなことがとてつもなく嬉しい。
それにとてつもなく、わくわくする。

自分から彼氏に何かをあげようと思ったことなんてない。

だから、私にとったら何もかもが初めてなのだ。


伊織はたくさんの経験があるのかもしれないけど。
だけど。

私は伊織は全てと言っていいほど、初めてだから。


家に帰宅した私は、いい匂いをさせている夕飯を食べて早々に就寝した。



気合いを入れているわけではないけど、早く出かけたかった。



誰か誘うことも出来たけど、私一人で決めたほうがきっと伊織は喜ぶ。

聞いたわけでもないのに、何故かそう思った。


自分だったらそうだからだ。


布団に潜り込むと、私はゆっくりと瞼を閉じた。
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