レンタル彼氏【完全版】
ぷりぷりしていた和が、急に話を止めるとふわって優しく顔を綻ばせた。

それからゆっくりと話しだす。



「実は私も報告がね」


「え?」


「……プロポーズされちゃいました!」



和は自分の左手を顔のとこまであげて、手の甲を見せる。
綺麗に揃えた指の薬指には光るモノがあった。



「き、気付かなかった…」


さっきからしてたはずなのに、全く気付かない私は余りにも鈍感過ぎる。



「いやー先に報告する予定が、泉の話に驚き過ぎてすっかり忘れてたよ」


「普通忘れないよ!」


「まっ、いいじゃん」



そう言うと和はアップルパイの最後の一切れを口にした。



…………終わり?




「和のプロポーズ話は?!」


「え?いーよ、なんか恥ずかしいし」


「は!?聞きたいし!」


「結婚式、来年だから来てよ」


「当たり前じゃん!

って、違くて!」


乗り突っ込みしちゃったじゃんか、思わず。


「しょうがないな。
結婚しよう、いいよ、はい、おしまい」


「え?えー!?」



いや、それはしょりすぎ。簡潔すぎ。
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