レンタル彼氏【完全版】
泉を取り巻く人は、どうしてこうも温かいの?
「……信じ、る。
………泉、っ……信じる」
また、涙がはたはたと流れ落ちる。
「……泉は、いなくならない」
俺はハッとする。
和の手は震えていた。
…………信じていると言っても。
怖いモノは怖いんだ。
この子はずっと泉といるんだから、当たり前だ。
「………俺も、信じる」
溢れる涙を拭うと、俺は力強くそう言った。
それから、和は何か話すわけでもなく俺の隣に座った。
“大丈夫”
そう、言ってる気がした。
「…………伊織!!!」
涙がやっと、落ち着いて来た頃。
泉でなく、俺の名前を呼ぶ声がした。
それに顔を上げる。
「…伊織っ」
再度、俺の名前を呼ぶのは。
聖だった。
「………聖…」
俺がぽつりとそう呟くと、それにいち早く反応したのは隣に座っていた和だった。
「…聖?!あんたが聖?!」
立ち上がって、仁王立ちすると和は聖に凄んだ。