レンタル彼氏【完全版】
「…え、誰こいつ」


聖は苦笑いしながら、俺に助けを求めている。



「…………和、泉の親友」


「聖に言いたいこと、たくさんあるの!
……伊織にも!」


初対面なのに、和は睨み付けて言った。
聖から俺の方も見て。


その視線に俺は肩をすくめる。



「今はっ、泉が大変だから頑張ってるから、言わない!」



そう言って、和は肩を震わせながら目に涙を溜めていた。



「………いずちゃんは、平気なの?」


聖は恐る恐る尋ねる。


誰かが答えるより真っ先に発言したのは


「泉は平気だよっ!!!」

和だった。




「……本当?………よかった」



それは、俺と和の想いなわけであって。

中でどうなってるのかは俺もわからない。



ずっと、手術中のランプはついたまま。




聖はほっとしたのか、そのまま壁にもたれかかった。

その後ろから、また誰かがこっちに来る。
男女のカップルだろうか。
長身の男と、今時な感じの女の子。



「聖っ」


その二人は聖を知ってるみたいだった。




「聖、いずちんは?!」



女の子の方が聖に駆け寄った。
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