闇に堕ちた天使
1

暗殺


暗闇の空の下に一つの城があった。

そして、その城の前には人影が一つ。

黒髪で背中には純白の翼が生えた少年がいた。

「ここか…。」

…俺に暗殺命令が出た。
天使が暗殺をしていいのかと疑問に思うが黙っておこう。

…俺はどちらにせよ天使には興味はない。

だから、この暗殺命令がでたのだろう…。

少年は己の翼を使って、城の高い窓へと入って行く。

そこは運がいいことに暗殺相手の寝室だった。

静かにその部屋に入って行くと、ベッドには何かが寝ている形が一つ。

それにそろりと近づく。
そして腰にある鞘から剣を抜き出し、刺そうとした瞬間周りの灯りがついた。

「私に手を出すのなんか100年早いですよ。」

後ろから聞こえる声に振り返ると、そこには少年と同じくらいの年齢の少女。

その少女の顔を一目見た瞬間なぜか少年は心が痛くなった。

「女?」

「女で悪いですか?」

「いや…。」

少年の目の前にいるのは輝く金髪の髪の毛を腰までおろしているピンク色の瞳の少女。

そして、少女の目の前にいるのは漆黒の髪色で背中には純白の翼、そして黄色の瞳を持った少年。

「あなた?天使ですよね…。大天使ラミントンはこんなくだらないことしないです。それじゃあ、哀れな天使長グレモアの命令で私を暗殺しに来たってとこですね。」

少年は目を見開く。

「図星ですね。」

「お前…魔王なのか?」

少女は頷く。

「私は魔王ゼイドラックです。」

「でも、魔王ゼイドラックが女って聞いたことないぞ?」

「天界は情報が遅いだけなんじゃないのですか?それにグレモアと私は何回も戦ったことがあります。もちろん全部私が勝ちましたけど。」

少年は怪しむ。

「まぁ、悪魔なんて信じられないものですよね。どうでもいいです、早くここから出て行って下さいな。私もう寝たいのです。」

少女は出て行けと人差し指で窓の方を指さし表した。




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