−大切な過去−
車はどんどん山奥になっていった。

夜だったし、凄く怖かった。

「…怖い…やばい」

あっ本音言っちゃった。

そう言うと、たっちゃんは車の速度をゆっくりにしてくれた。

そして手を握ってくれた。

あったかい…

ずっと一緒にいられたらいいなあ…

「離さんから…」

たっちゃんは静かに言った。

「あたしが離さんし!笑」

照れ隠しで窓の外を見ると、夜景が見えてきた。

「うわあ…」

そして車を止めた。

少し上に歩くと、ベンチがいくつか並べてあった。

誰もいなかったから貸し切り状態だった。
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