−大切な過去−
父親の部屋に入ると気まずい空気が流れた。

父親は口を開いた。

「お見舞い来てくれてありがとう。迷惑かけてごめんね。」

今まで泣いた姿を見せた事なかった父親が、あたし達子供の前で泣いた。

涙が出そうになった。

元気で良かった。

単純にそう思った。

あたしは、おばあちゃんと毎週お見舞いに行っていた。

父親はいつも申し訳なさそうな顔をしていた。
< 7 / 73 >

この作品をシェア

pagetop